建設業許可は、請負金額が500万円を超える工事に必要です。しかし、「500万円未満なら許可は不要?」「請求書を分割すればバレない?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。この記事では、建設業許可が不要なケース、500万円の判断基準、無許可営業のリスク、建築一式工事の例外などをわかりやすく解説します。

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請負金額500万円以上の工事には建設業許可が必要です

建設業許可は500万円以上の工事に必要?基本を解説

500万円の判断基準:工事の実態で判断

建設業許可が必要かどうかは、契約書や請求書に記された金額だけでなく、実際の工事全体の内容に基づいて判断されます。たとえば、請求書を複数に分けていても、それらが実質的に1つの工事として扱われると判断されれば、合計金額が500万円を超えるかどうかが、許可の必要性を左右する大きな要因となります。この判断は、個々の契約書や請求書だけではなく、工事全体の設計、施工範囲、目的などを総合的に考慮して行われるため、金額を形式的に分けても、実態が1つの工事であれば、許可が必要とされる可能性が高くなります。許可が必要かどうか判断に迷う場合は、行政書士などの専門家に相談するのがおすすめです。専門家は具体的な状況を分析し、的確なアドバイスをしてくれます。また、過去の判例や行政の見解なども参考にしながら、判断することが可能です。誤った自己判断によりトラブルに発展するおそれがあるため、慎重な対応が必要です。建設業法は内容が複雑で解釈も難しいため、専門家と連携しながら法令を守ることが大切です。


材料費・消費税も請負金額に含む

建設業許可が必要かどうかを判断する際、請負金額には材料費や消費税も含まれる点に注意が必要です。これは、工事の規模や内容を正確に把握するために、実際に発生する全ての費用を考慮する必要があるからです。たとえば、材料費200万円、消費税50万円、労務費250万円の工事の場合、合計金額は500万円となり、建設業許可が求められる可能性があります。材料費とは、木材やセメント、鉄筋など工事に使用される資材の費用であり、消費税はこれらの費用全体に課される税です。こうした費用は個別に扱うのではなく、すべてを合計した金額をもとに判断します。見積書や契約書を作成する際には、材料費、労務費、消費税といった内訳を明確にし、請負金額の合計が500万円を超えるかどうかを確認しやすくすることが望ましいです。建設業許可を取得するかどうかを判断する場合、これらの費用を正確に把握したうえで、専門家と相談しながら進めることが重要です。許可が必要な工事を無許可で行った場合、罰則の対象となる可能性があるため、十分注意してください。


追加工事で500万円を超える場合

契約当初の請負金額が500万円未満であっても、その後に追加工事が発生し、全体として500万円を超える場合には、建設業許可が必要となる可能性があります。この点は工事契約において特に重要であり、予定外の追加工事が出たときには、許可の要否を改めて確認する必要があります。追加工事とは、最初の契約には含まれていなかったが、顧客の希望や現場状況の変化により新たに生じた工事のことを指します。例としては、地盤改良工事、設計変更に伴う工事、埋設物の撤去工事などが挙げられます。こうした追加工事により、当初契約に加えて費用が増加し、合計で500万円を超える場合には、速やかに建設業許可の取得を検討する必要があります。許可を取得せずに工事を継続すると、建設業法違反として処罰される恐れがあります。追加工事が発生した際は、まずその見積額を算出し、総額が500万円を超えるかどうかを確認します。もし超える見込みがあれば、早急に許可取得の手続きを行うか、追加工事を請け負わないという判断も必要となります。許可取得には一定の時間を要するため、早めの判断と行動が求められます。

請負金額500万円以上の工事には建設業許可が必要です

建設業界では、請負金額によって建設業許可の有無が問われます。中でも「税込500万円」を超える工事は、原則として許可が必須とされており、この金額が一つの重要な基準となっています。

本記事では、建設業許可と500万円の関係、そして許可がない状態で工事を請け負った場合のリスクなどについて詳しく解説します。


許可が必要となる金額ラインとは?

税込で500万円以上の建設工事(材料費含む)を請け負う場合、法人・個人問わず建設業許可が必要になります。規模が小さい業者でも、この金額を超える案件に携わる可能性は十分にあります。

受注が決まってから許可を取得するのでは遅すぎることも。事前に取得しておくことで、チャンスを逃さず柔軟に対応できます。


「請負金額500万円」を判断する際のポイント

建設業法では「工事の実態」に基づいて金額を判断します。形式上500万円未満に見せかけても、以下のようなケースでは許可が必要です。

  • 工事を意図的に分割している
    • 一つの工事を複数契約に分けても、実態が同一なら合算して判断されます。
  • 材料費や運送費を除外している
    • 材料が施主提供でも、市場価格を含めた金額で評価されます。
  • 税抜で判断している
    • 消費税を含めた金額で計算されるため、税抜き454万円程度でも超過する可能性あり。

工事の種類によっては別途登録が必要な場合も

建設業許可があっても、電気工事や浄化槽工事などは別の登録制度が存在します。たとえば、電気工事を自社で施工するには「登録電気工事業者」としての登録が必要です。

このように、業種ごとに異なる法律が絡むケースもあり、許可だけでは足りない場合もあるため注意が必要です。


追加工事で500万円を超える場合も注意

最初の契約時点では500万円未満でも、追加工事によって合計金額が500万円を超える場合、その工事全体に建設業許可が必要となります。

分割発注や契約更新などを安易に行うと、法令違反とみなされるリスクがあるため、状況に応じた判断が重要です。


無許可営業のリスクと罰則

請求書分割は違法行為

許可を取得せずに500万円を超える工事を請け負うため、意図的に請求書を分割して金額を小さく見せかける行為は、明確に建設業法違反となります。このような行為は、法の抜け道を使った不正とみなされ、法的な処分の対象になります。建設業法は、一定以上の規模の工事に対して、施工能力や経営力を備えた業者にのみ許可を与えることで、工事の品質と安全を確保しようとする法律です。請求書の分割はこの目的に反し、不正競争を引き起こす恐れがあります。

違反が明るみに出た場合、法的罰則だけでなく社会的信用の失墜にもつながります。過去の違反は将来的な許可申請や更新にも影響するため、法令遵守が何より重要です。一時的な利益を得られても、長期的には事業継続のリスクになります。正しく許可を取得し、健全な事業運営を心がけましょう。

同業者からの通報・告発のリスク

無許可での営業は、同業者からの通報によって発覚するリスクも高いです。建設業界は人と人のつながりが強く、情報が早く広まる傾向があります。また、コンプライアンス意識の高まりから、法令違反には厳しい視線が向けられるようになっています。特に、許可を取得している他社からすれば、不正に取引を進める無許可業者は大きな脅威です。

実際、匿名での通報も多く、違反行為を隠し通すのは困難です。通報がきっかけで監査が入り、違反が判明すれば罰則が科され、信頼を失い、取引停止に至るケースもあります。業界内で誠実な姿勢を貫くことが、長期的な信頼構築に不可欠です。

建設業法違反の罰則・逮捕事例

建設業法に違反した場合には、以下のような罰則が科されることがあります。

  • 無許可営業:3年以下の懲役または300万円以下の罰金
  • 法人関与の場合:法人にも罰金が科される可能性

過去には、無許可で工事を行っていた業者の経営者が逮捕された例や、安全性を欠く工事を実施したことで逮捕・書類送検された例も存在します。違反が公表されると、社会的信用の失墜も大きく、企業としての再起が難しくなることもあります。

建設業法は、消費者保護や工事の安全性確保を目的とした法律です。違反は、業界全体への悪影響となり得るため、法令を守った誠実な業務運営が求められます。

抜け道は存在しない?建築一式工事の例外

建築一式工事の例外と注意点

建築一式工事:1500万円未満は許可不要

建設業許可の原則では、500万円を超える工事を請け負うには許可が必要です。しかし、建築一式工事については例外が設けられています。建築一式工事とは、建物を総合的に建設する工事のことで、新築・増築・改築などが該当します。この場合、請負金額が1500万円未満であれば、許可が不要とされているのです。

これは、中小の事業者が比較的小規模な住宅工事などに参入しやすくするための措置ですが、注意すべき点もあります。建築一式工事の中に、電気・管・塗装などの専門工事が含まれており、それぞれの工事の金額が500万円を超える場合には、その専門工事に対する許可が必要です。

たとえば、住宅の建築工事の中で、電気工事の部分が500万円を超えるのであれば、建築一式工事の許可とは別に、電気工事業の許可を取得しておく必要があります。この点を見落とすと、知らず知らずのうちに違反となるおそれがあります。

建築一式工事とは?定義を解説

建築一式工事とは、建築物を全体として建設する工事を指し、主に新築・増築・改築といった工事が該当します。基礎・構造・内装・外構・設備など、複数の工事を総合的にまとめて請け負う性質を持ちます。

建物の種類は多様で、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など構造の違いや、住宅・店舗・商業施設など用途によっても異なります。そのため、建築一式工事を請け負うには、技術力だけでなく総合的なマネジメント能力も問われます。

この分野は建設業の中でも総合力が問われるため、技術者の配置、品質管理、安全管理などの体制がしっかりしていることが求められます。建築一式工事は、社会基盤の整備に貢献する重要な工事区分であることを忘れてはなりません。

建築一式工事でも許可が必要なケース

建築一式工事であっても、常に許可が不要というわけではありません。以下のような場合には建設業許可が必要になります:

  • 請負金額が1500万円以上となる場合
  • 木造住宅で延べ面積が150㎡を超える場合

これらの規定は、安全性・品質の担保を目的としており、より規模が大きく構造的にも複雑な工事については、専門性の高い業者による施工が求められるという意図があります。

したがって、建築一式工事を請け負う際は、金額や構造、工事内容を的確に把握し、必要に応じて個別に許可の取得が必要かどうかを確認することが重要です。

判断が難しい場合は、建設業許可に詳しい専門家に相談し、法令遵守の観点から適切な対応を行うようにしましょう

建設業許可取得のススメ:500万円超えの工事も安心

許可取得のメリット:信頼性向上・事業拡大

建設業許可を取得することには、様々なメリットがあります。最も大きなメリットは、顧客や取引先からの信頼性が向上することです。建設業許可は、一定以上の技術力や経営能力を持つ業者に与えられるものであり、許可を取得しているということは、これらの能力が認められているということを意味します。そのため、許可を取得している業者は、顧客や取引先から安心して工事を依頼される可能性が高まります。また、建設業許可を取得することで、より大きな規模の工事を請け負うことが可能になります。建設業許可を取得していない業者は、500万円以上の工事を請け負うことができませんが、許可を取得している業者は、金額に関係なく自由に工事を請け負うことができます。これにより、事業規模を拡大し、収益を向上させることが可能になります。 株式会社ベンチャーサポートのような専門家は、建設業許可の取得をサポートしており、許可取得に関する様々な情報やノウハウを提供しています。専門家のサポートを受けることで、許可取得の手続きをスムーズに進めることができます。建設業許可の取得は、事業の発展に大きく貢献する可能性がありますので、積極的に検討することをおすすめします。建設業許可は、企業の信用力を高め、事業機会を拡大するための重要なツールとなります。

許可取得の要件:経営・技術・財産

建設業許可を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。主な要件としては、経営業務の管理責任者、専任技術者、財産的基礎などが挙げられます。経営業務の管理責任者とは、建設業の経営に関する一定の経験を持つ人を指します。具体的には、建設業の経営者として5年以上の経験を持つ人や、建設業の経営者として3年以上の経験を持ち、かつ建設業に関する一定の知識や資格を持つ人などが該当します。専任技術者とは、建設工事の施工を管理する技術者であり、一定の資格や実務経験を持つ人が該当します。具体的には、建設業に関する国家資格を持つ人や、建設業に関する実務経験が10年以上ある人などが該当します。財産的基礎とは、建設業を営むために必要な財産を持っていることを指します。具体的には、自己資本が500万円以上あることや、金融機関からの融資枠が500万円以上あることなどが該当します。 これらの要件を満たすためには、事前の準備が重要です。行政書士などの専門家に相談しながら、計画的に準備を進めることをおすすめします。行政書士は、建設業許可の取得に関する専門家であり、要件の確認、必要書類の準備、申請手続きの代行など、様々なサポートを提供してくれます。専門家のサポートを受けることで、許可取得の手続きをスムーズに進めることができます。建設業許可の取得は、事業の発展に大きく貢献する可能性がありますので、積極的に検討することをおすすめします。

建設業許可に関する疑問は専門家へ相談

建設業許可の要否判断は複雑

建設業許可が必要かどうかを判断することは、非常に複雑で難しい場合があります。工事の種類、請負代金の額、契約形態、工事の実態など、様々な要素を考慮する必要があるためです。また、建設業法は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を把握しておく必要があります。自己判断で誤った解釈をしてしまうと、後々大きな問題に発展する可能性もあります。例えば、建設業許可が必要であるにもかかわらず無許可で工事を請け負った場合、建設業法違反として罰則が科せられる可能性があります。また、許可が必要ないと思っていた工事が、実は許可が必要であったという場合もあります。 このような事態を避けるためには、専門家の意見を参考にしながら慎重に判断することが重要です。行政書士や建設業許可の専門家は、個別の状況を詳細に分析し、適切なアドバイスを提供してくれます。また、過去の判例や行政の指導事例なども参考にしながら、許可の要否を判断することができます。建設業法は複雑な法律であり、解釈が難しい部分も多いため、専門家のサポートを受けながら、法令遵守を徹底することが大切です。建設業許可に関する疑問や不安がある場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

建設業許可申請代行サービス

建設業許可の申請手続きは、非常に煩雑で時間がかかるものです。必要書類の準備、申請書の作成、行政機関への提出など、様々な手続きを行う必要があります。これらの手続きは、専門的な知識や経験が必要となるため、一般の人が行うには困難な場合があります。そこで、行政書士などの専門家は、建設業許可申請代行サービスを提供しています。このサービスを利用することで、煩雑な申請手続きを専門家に任せることができ、スムーズな許可取得をサポートしてくれます。申請代行サービスの内容は、専門家によって異なりますが、一般的には、必要書類の収集、申請書の作成、行政機関との交渉、許可取得後のサポートなどが含まれています。 これらのサービスを利用することで、申請者は時間や労力を大幅に削減することができます。また、専門家は建設業許可に関する豊富な知識や経験を持っているため、申請がスムーズに進み、許可取得の可能性を高めることができます。建設業許可の取得を検討している場合は、申請代行サービスの利用を検討してみることをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、許可取得の手続きをスムーズに進めることができます。建設業許可は、事業の発展に大きく貢献する可能性がありますので、積極的に検討することをおすすめします。