「隣の県にも営業所を出したいけれど、許可はどうなる?」

「知事許可だと、他県の現場では仕事ができないって本当?」

事業が軌道に乗り、エリアを拡大しようとする建設業者様からもっとも多くいただく相談が、この「国土交通大臣許可」と「都道府県知事許可」の区分についてです。

2019年当時に比べ、現在は電子申請システム(JCIP)の導入により、大臣許可の手続きもオンライン化が進んでいますが、基本的な「区分」のルールは変わりません。しかし、この区分を正しく理解していないと、知らぬ間に「無許可営業」の指摘を受けるリスクもあります。

今回は、建設業許可専門の行政書士が、大臣許可と知事許可の境界線、そして移行時の注意点について詳しく解説します。

電子申請システム(JCIP)

1. 大臣許可と知事許可を分ける「唯一の基準」

大臣許可か知事許可かは、会社の規模や売上、資本金で決まるものではありません。唯一の判断基準は、「建設業法上の営業所が、複数の都道府県にあるか、1つだけか」という点です。

① 都道府県知事許可(1つの都道府県内のみ)

営業所が1つの都道府県内のみにある場合です。

  • 例: 茨城県内に本店(本社)があり、他の県には一切営業所がない場合 = 茨城県知事許可
  • ※営業所が県内に複数(水戸支店、つくば支店など)あっても、すべて同じ県内なら知事許可です。

② 国土交通大臣許可(2つ以上の都道府県)

営業所が2つ以上の都道府県にまたがって存在する場合です。

  • 例: 茨城県に本店があり、栃木県に支店がある場合 = 国土交通大臣許可
  • ※たとえ小さな出張所であっても、そこで「見積・契約」を行うのであれば、大臣許可への変更(許可換え新規)が必要です。

2. 【直接修正】最大の誤解「施工エリアの制限」

行政書士として、もっとも多く耳にする間違いがこちらです。

❌ 誤った認識: 「知事許可だと、許可を受けた県以外の現場では仕事ができない」

⭕ 正しい認識: 「施工場所」に制限はありません。知事許可でも日本全国どこでも工事可能です。

例えば、茨城県知事許可の会社が、東京都の現場や北海道の現場で施工を行うことは、法律上全く問題ありません。制限されるのはあくまで「契約を結ぶ場所(営業所)」の所在地です。


3. 建設業法上の「営業所」の定義を甘く見てはいけない

大臣許可への切り替えを検討する際、もっとも注意すべきなのが「営業所として認められる実態」があるかどうかです。

営業所として認められる条件

  • 常時、建設工事の請負契約を締結する事務所であること。
  • 電話、机、事務用品等が備え付けられ、実態としての事務所機能があること。
  • 外部から「建設業の営業所」であることが確認できる標識(看板)があること。
  • 「専任技術者」が常勤していること。

営業所にならない場所

  • 単なる資材置場や物置。
  • 現場のプレハブ事務所(工事期間中のみ設置されるもの)。
  • 契約権限を持たない単なる連絡所。

4. 大臣許可へのステップアップ「許可換え新規」の難易度

大臣許可へのステップアップ「許可換え新規」の難易度

知事許可から大臣許可へ切り替える手続きを「許可換え新規」と呼びます。「更新」ではなく、あくまで「新たに大臣許可を取り直す」という扱いになるため、審査は新規申請と同等の厳しさになります。

大臣許可のハードルが高い理由

  1. 専任技術者の確保: すべての営業所(支店)ごとに、その業種に対応した「専任技術者」を置かなければなりません。
  2. 常勤性の確認: 本店の技術者が支店の技術者を兼ねることは地理的に不可能なため、「各県ごとに資格者を採用または異動」させる必要があります。
  3. 審査期間の長さ: 知事許可が約1ヶ月〜1.5ヶ月で下りるのに対し、大臣許可は3ヶ月〜4ヶ月以上かかることが一般的です。

5. 知事許可と大臣許可のコスト比較(2026年最新)

申請にかかる「法定手数料(税金)」も異なります。

比較項目都道府県知事許可国土交通大臣許可
新規(許可換え含む)90,000円150,000円
業種追加50,000円50,000円
更新50,000円50,000円
申請先管轄の土木事務所・県庁各地方整備局(※JCIPによる電子申請)

2026年現在、大臣許可は電子申請(JCIP)が完全対応しており、GビズID(gBizIDプライム)を利用した申請がスタンダードとなっています。


6. 行政書士が教える「失敗しないための戦略」

事業拡大で他県に拠点を出す場合、以下のポイントを事前にチェックしてください。

  1. 「本当にそこは営業所か?」: 現場事務所で事足りるなら、知事許可のままで維持する方がコストも人員も抑えられます。
  2. 専任技術者の通勤圏内か: 支店の技術者が、実態として毎日通える場所に住んでいるかチェックされます。
  3. 社会保険の加入: 支店を出すことで従業員増となった場合、社会保険(健保・厚生・雇用)への適切な加入が大臣許可の審査でも厳しく見られます。

7. まとめ:大臣許可は「信頼」の証

知事許可と大臣許可、どちらが良いというわけではありません。しかし、全国に支店を構え「国土交通大臣許可」を保有していることは、大手ゼネコンや官公庁からの信頼において大きなステータスとなります。

  • まずは1つの拠点で、全国の現場を飛び回りたい = 知事許可
  • 各地に拠点を構え、組織的にエリアを支配したい = 大臣許可

貴社のビジョンに合わせて、最適な許可形態を選択しましょう。


📩 大臣許可・知事許可の切り替え相談承ります

「支店を出す予定だが、今のメンバーで大臣許可は取れるか?」「許可換え新規の書類作成が複雑すぎて進まない」

YAS行政書士事務所は、埼玉県・茨城県を中心に、全国の大臣許可申請まで幅広くサポートする建設業のスペシャリストです。電子申請(JCIP)にも完全対応しており、スピーディーかつ確実に貴社の事業拡大を後押しします。

建設業許可申請専門 YAS行政書士事務所

  • 電話相談: [0120-114-908](平日 9:00〜18:30)
  • メール相談: お問い合わせフォームはこちら
  • 対応エリア: 茨城県、埼玉県、栃木県、東京都など関東全域から全国の大臣許可まで対応。

「知事」から「大臣」へ。貴社のネクストステージを、私たちが法務の力で支えます!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です