建設業許可を取得しようとする際、必ず決める必要があるのが「許可の区分」です。 「うちは埼玉だけでなく東京の現場も多いから、大臣許可が必要なの?」 「下請けに4,000万円以上出すときは、どっちの許可がいい?」
現在は下請けに発注できる金額の上限が引き上げられるなど、大きなルール変更がありました。2026年現在、この区分を間違えて申請してしまうと、「受注したい工事が契約できない」「許可を取り直すのに数ヶ月かかる」といった致命的なロスに繋がりかねません。
今回は、建設業許可の区分について、判断のポイントを最新基準で詳しく解説します。
1. 営業所の場所で決まる「大臣許可」と「知事許可」
まず最初に決めるのが、どこに対して申請を出すかという区分です。これは「営業所(契約を結ぶ拠点)」がどこにあるかだけで決まります。
① 都道府県知事許可
「1つの都道府県内のみ」に営業所を置いて営業する場合です。
- 例: 埼玉県内に本社があり、支店がない(または支店も埼玉県内にある)場合。
- メリット: 登録免許税や手数料が大臣許可より安く(知事は9万円、大臣は15万円)、審査期間も1ヶ月〜1.5ヶ月程度とスピーディーです。
② 国土交通大臣許可
「2以上の都道府県」にまたがって営業所を設ける場合です。
- 例: 埼玉県に本店、東京都に支店がある場合。
- メリット: 全国展開している企業としてのステータスが高まります。ただし、審査には3ヶ月以上かかるのが一般的です。
【2026年の常識:最大の誤解を解く!】 「埼玉県知事許可だと、東京都の現場の仕事はできない」と思っている方が非常に多いですが、これは間違いです。 知事許可であっても、工事現場(施工場所)は「日本全国どこでも」可能です。あくまで「営業所(見積りや契約をする拠点)」がどこにあるかの区分です。
2. 下請けへの発注額で決まる「一般許可」と「特定許可」

次により重要なのが、発注の「規模」による区分です。これは自社が「元請け」として下請業者にどれだけの金額を出すかで決まります。
① 一般建設業許可
多くの中小建設業者様が取得するのがこちらです。
- 元請として下請けに出す合計金額が、4,500万円(税込)未満の場合。
- または、下請けとしてのみ工事に入る場合(この場合、受注金額に制限はありません)。
② 特定建設業許可
大規模な工事を元請として受注し、多くの下請業者を使う場合に必要です。
- 元請として下請けに出す合計金額が、4,500万円(税込)以上になる場合。
- 建築一式工事の場合は、下請けに出す合計金額が7,000万円(税込)以上になる場合。
【重要:2023年以降の最新基準】 2019年当時は、特定許可が必要なラインは「下請発注額4,000万円以上(建築一式6,000万円)」でしたが、物価高騰を受け、現在は4,500万円以上(建築一式7,000万円)へと引き上げられています。この数字を間違えている古いWebサイトも多いため、注意が必要です。
3. 「同一業種」で一般と特定は両立できない
よくある質問に「大工工事業で一般と特定、両方持てる?」というものがありますが、答えは「NO」です。
許可のルール
- 大臣と知事の併用不可: 同一の法人が、大臣許可と知事許可を同時に持つことはできません。
- 同一業種での一般・特定併用不可: 例えば「内装仕上工事」について、一般と特定の両方を持つことはできません。
可能なケース
異なる業種であれば、一般と特定を混ぜることができます。
- 例: * 解体工事業 = 特定許可(元請として大きな解体案件を出すため)
- 電気工事業 = 一般許可(自社施工や少額の外注で済むため) このように、事業実態に合わせて戦略的に分けることが可能です。
4. 特定建設業許可の「高い壁」

特定建設業許可を取得するには、一般許可よりも遥かに厳しい要件(特に財産要件)をクリアしなければなりません。
特定許可の財産要件(更新のたびにチェックされます!)
- 欠損の額が資本金の20%以内であること。
- 流動比率が75%以上であること。
- 資本金が2,000万円以上であること。
- 自己資本(純資産合計)が4,000万円以上であること。
これらを1つでも欠くと、特定許可は維持できません。2026年現在、経営事項審査(経審)を受ける業者様にとって、この特定許可の維持が最大の経営課題となることも多いです。
5. 【戦略的アドバイス】どの区分を選ぶべきか?
まずは「知事許可・一般許可」から
新規に独立される場合や、小規模な法人成り(法人化)の場合は、まず「知事・一般」からスタートするのが定石です。
- 理由:要件が揃いやすく、取得コスト(税金や行政書士費用、社会保険料など)も抑えられるためです。
「特定許可」への切り替え(般特新規)
「元請の仕事が増えてきて、下請けに5,000万円以上出す必要が出てきた」という段階で、一般から特定へ切り替える申請(般特新規)を行います。この際、専任技術者の資格も「1級」が必要になるため、あらかじめ資格者を確保しておく必要があります。
「大臣許可」への切り替え(許可換え新規)
「他県に本格的な営業所(契約権限を持つ支店)を出したい」となった時に、大臣許可へ切り替えます。この場合、その支店にも「専任技術者」を置かなければならないため、採用コストが発生することを覚悟しなければなりません。
6. まとめ:区分選びは「経営の設計図」
建設業許可の区分を検討することは、そのまま貴社の「今後の成長戦略」を描くことと同じです。
- 営業所はどこか?(大臣 vs 知事)
- 元請としていくら出すか?(一般 vs 特定)
この2つのポイントを軸に、現在の身の丈に合った、かつ将来のチャンスを逃さない区分を選ぶことが重要です。
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