
「許可が取り消されたら、また取り直せばいい」……もしそんな風に軽く考えているとしたら、それは非常に危険な勘違いです。
建設業許可の取消しには、単に「要件を満たさなくなったから名簿から消える」ものと、法律違反によって「ペナルティとして剥奪される」ものの2種類があります。後者の場合、向こう5年間は建設業界から事実上追放されるという、恐ろしい制約が待っています。
今回は、建設業許可の取消しに関する最新の判断基準と、会社を守るための防衛策をプロの行政書士が詳しく解説します。
1. 建設業許可の取消しには「2つのルート」がある
ひと口に「許可の取消し」と言っても、その性質は正反対です。
① 「不利益処分」としての取消し(レッドカード)

これは、建設業法違反などに対して下される「制約を伴う処罰」です。
- 代表的な例:
- 不正な手段(虚偽の書類など)で許可を取得・更新した。
- 営業停止命令に従わなかった。
- 役員が禁錮以上の刑に処せられた(欠格要件への該当)。
- 許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、または1年以上休止した。
② 「要件欠如」等による事務的な取消し(イエローカードの累積)

これは、許可を維持するための「ヒト・モノ・カネ」の条件が揃わなくなった場合に行われる処置です。
- 代表的な例:
- 経営管理態勢(旧:経管)の不在: 常勤役員が退職・死亡し、後任がいない。
- 専任技術者の不在: 唯一の資格者が突然辞めてしまった。
- 廃業届の提出: 事業を畳む、または法人成りのために自主的に届け出た。
2. 知っておかないと震える「5年間の欠格期間」
不利益処分(上記①)によって許可を取り消された場合、「欠格要件」に該当することになります。
行政書士の忠告: 処罰としての取消しを受けた場合、その日から5年間は、新規で建設業許可を申請することが一切できません。
さらに恐ろしいのは、法人の役員個人に対してもこのペナルティが及ぶ点です。取り消された会社の役員だった人は、別の会社を作ったとしても、その会社で5年間は許可を受けることができません。
【2020年改正のポイント】「逃げ得」は許されない
以前は、取消し処分が下りる直前に「自主的に廃業届を出して逃げる」という手法(許可ロンダリング)が一部で見られました。しかし現在は、「取消し処分の手続きが始まった後に廃業届を出しても、5年間の欠格期間が適用される」よう厳格化されています。
3. なぜ「うっかり取消し」が起きるのか?
悪意がなくても、管理不足で許可を失うケースが後を絶ちません。2026年現在、特に多いのが以下のパターンです。
パターンA:専任技術者の突然の退職
「明日から来ません」と資格者に辞められた瞬間、その会社は許可要件を欠いた状態になります。
- 猶予はない: 専任技術者が不在になった場合、原則として2週間以内に届け出が必要ですが、代わりの技術者が見つからなければ、許可は維持できず取消しとなります。
パターンB:役員の「うっかり」犯罪
役員(非常勤を含む)や相談役、あるいは支店長などが、プライベートで事件を起こし「罰金刑(特に暴行や傷害など特定の罪)」や「禁錮以上の刑」が確定した場合、会社全体の許可が一発で取り消しになります。
パターンC:社会保険の未加入(2026年の最重要点)
現在、社会保険(健保・厚生・雇用)への加入は許可の維持要件です。毎年の決算報告や更新時に未加入が発覚し、是正勧告に従わない場合、許可の取消し対象となる運用が強化されています。
4. 許可を取り消された場合の影響(ダメージ)
もし明日、許可が取り消されたら貴社はどうなるでしょうか?
- 施工中の工事はどうなる?
- 取消しの日から2週間以内に注文者に通知すれば、その工事に限り完成させることができます。ただし、通知を受けた注文者は2週間以内であれば契約を解除できるため、工事代金を回収できないリスクが生じます。
- 新しい見積もり・契約は?
- 一切禁止です。500万円未満の軽微な工事すら「営業禁止(1年間など)」を言い渡されるケースもあり、事実上の倒産に追い込まれる企業も少なくありません。
- 公表されるリスク:
- 行政処分を受けた場合、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」に社名が永久に(または長期間)掲載されます。銀行や元請けは必ずここをチェックします。
5. 行政書士が教える「許可死守」の防衛策
許可を失わないために、日頃から以下の「健康診断」を行ってください。
- 技術者の複数体制: 専任技術者が1人しかいない状態は「心臓が1つしかない」のと同じです。複数の資格者を育てるか、採用しておくことが最大のリスクヘッジです。
- 役員のコンプライアンス教育: 「役員の不祥事 = 会社の死」であることを徹底周知してください。
- 行政書士による定期チェック: 定期的な決算報告だけでなく、役員の変更や、要件の維持状況をプロの目で毎月・毎年モニタリングすることをお勧めします。
まとめ:取消しは「防げる」ものです
2019年の記事で解説した通り、取消しには「処罰」と「事務的削除」がありますが、どちらにせよビジネスが止まることに変わりはありません。
特に「不利益処分としての取消し」は、再起不能に近いダメージを与えます。「正しい知識を持ち、誠実に経営し、早めに専門家へ相談する」。これこそが、建設業許可という「看板」を守り続ける唯一の道です。
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