建設業許可申請、毎年の決算変更届、経営事項審査(経審)——どの場面でも提出が必須となる「工事経歴書(様式第2号)」は、企業の工事実績を行政庁に示す重要書類です。

特に経審を受ける場合は、独自の「元請7割ルール」「税抜き表記」などの厳格なルールがあり、これを誤ると経審の評価が大きく下がります。経審を受けない場合でも、元請・下請の区別や金額単位の取扱いを誤ると、決算変更届が受理されず、結果として許可更新ができなくなるリスクもあります。

本記事では、工事経歴書(様式第2号)の正しい書き方を、経審を受ける場合/受けない場合の2パターンに分けて、建設業専門の行政書士が分かりやすく解説します。

💡 工事経歴書・決算変更届の無料相談実施中 工事経歴書の作成や経審対応でお困りの方は、お気軽にご相談ください。 👉 無料相談はこちらから

1. 工事経歴書(様式第2号)とは

工事経歴書(様式第2号)とは

1-1. 提出が必要となる主な場面

工事経歴書は、建設業法施行規則に基づく様式第2号で、以下の3つの場面で提出が必要です。

提出場面内容
建設業許可申請(新規・更新・業種追加)許可対象業種の工事実績を証明
決算変更届(毎事業年度終了後4ヶ月以内)毎年の工事実績を行政庁に報告
経営事項審査(経審)申請公共工事入札参加の資格審査用

これらの場面で要求されるルールが微妙に異なるため、提出先の目的に合わせた書き方を選ぶ必要があります。

1-2. 記載対象となる工事の期間

工事経歴書に記載する対象は、「申請日が属する事業年度の直前1事業年度」の工事です。具体的には、

  • 前事業年度中に完成した工事
  • 前事業年度中に請け負った未完成工事

の両方を記載します。原稿によくある「直近5期分」「10期分」というルールは存在しません。

💡 取得後の継続義務についてはこちら 👉 建設業許可「取得後」に必ずやるべき3つの義務|更新で泣かないための管理術

2. 【最重要】経審を受ける場合の特別ルール

公共工事の入札に参加するためには経審を受ける必要があり、その際の工事経歴書には他とは異なる厳格なルールがあります。

2-1. 「元請7割ルール」(2段階記載)

経審を受ける場合の工事経歴書は、以下の順序で記載します。

ステップ1:元請工事を金額の大きい順に、元請全体の70%まで記載

まず、対象期間中に請け負った元請工事のみを、請負金額が大きい順に並べます。そして、元請工事の完成工事高の70%に達するまで順に記載します。

ステップ2:元請・下請を問わず、総完成工事高の70%まで追加記載

ステップ1で元請の70%まで記載した後、続けて元請・下請を問わず金額の大きい順に、対象業種の総完成工事高の70%に達するまで追加で記載します。

2-2. 軽微な工事10件ルール

ステップ1・2の途中で、軽微な工事(500万円未満、建築一式は1,500万円未満)が10件に達した時点で、それ以降の軽微な工事は記載不要となります(業種別)。

2-3. 1,000億円ルール

ステップ1・2の途中で累計金額が1,000億円に達した時点で、それ以降は記載不要です。

2-4. 経審では「税抜き」表記が必須

経審を受ける場合の工事経歴書・直前3年間の施工金額・財務諸表は、すべて税抜き金額で統一する必要があります。税込みで書くと公平な審査ができないため、必ず税抜きに統一してください。

2-5. 1業種につき1枚作成

複数業種の許可を持つ会社が経審を受ける場合、1業種につき1枚の工事経歴書を作成します。

3. 経審を受けない場合の記載ルール

経審を受けず、許可更新や決算変更届のみの場合は、ルールがシンプルになります。

3-1. 元請・下請に関係なく金額の大きい順

経審を受けない場合は、元請・下請の区別なく金額の大きい順に記載します。

3-2. 記載件数の目安

各都道府県によって異なりますが、目安として以下が一般的です。

  • 金額の大きい順に上位10〜15件程度
  • または、完成工事高の70%以上に相当する数

3-3. 税込み表記が原則

経審を受けない場合(許可申請・決算変更届)は、税込み金額で記載します。

4. 元請・下請の区別と「注文者」の記載

元請・下請の区別と「注文者」の記載

4-1. 元請工事と下請工事の違い

区分定義注文者欄の記載
元請工事発注者(施主)から直接請け負った工事施主の氏名・名称
下請工事元請業者から請け負った工事の一部元請業者の名称(施主ではない)

4-2. 元請工事の記載例

個人施主から住宅新築工事を一括で受注した場合:

  • 工事名称:○○邸新築工事(または「個人住宅 新築工事」と省略可)
  • 注文者:○○○○ 様(個人施主)
  • 工事場所:埼玉県川越市○○町○丁目○番
  • 元請・下請の別:元請

4-3. 下請工事の記載例

大手ゼネコンから商業ビルの電気設備工事を下請けで受注した場合:

  • 工事名称:△△ビル新築工事(電気設備工事)
  • 注文者:株式会社□□建設(元請ゼネコンの名称)
  • 工事場所:東京都○○区○○町○丁目○番
  • 元請・下請の別:下請

⚠️ 重要な注意点:多重下請構造の場合でも、注文者欄には自社が直接契約した相手方を記載します。さらに上の元請業者やその上の施主の名称ではありません。

💡 業種別の許可要件はこちら 👉 建設業許可「業種選び」の決定版|後悔しないための戦略と裏技

5. 各項目の正確な記載方法

5-1. 請負代金の額は「千円単位」

⚠️ よくある誤り:「円単位」で記載

工事経歴書の請負代金欄は、千円単位で記載するのが原則です(様式第2号の様式上の指定)。例えば、550万円の工事は「5,500」と記載します。

5-2. 工期(着工年月・完成年月)

着工年月と完成年月を、和暦または西暦で正確に記載します。

  • 完成工事:着工〜完成の両方を記載
  • 未完成工事:着工〜完成予定年月を記載

途中で工期延長があった場合は、変更後の最終日を記載します。

5-3. 配置技術者(主任技術者・監理技術者)

工事経歴書には、現場ごとに配置した主任技術者または監理技術者の氏名を記載する欄があります。

区分いつ必要か記載
主任技術者建設業許可業者が請け負うすべての工事氏名+有資格区分コード
監理技術者元請かつ下請に5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)を出した場合氏名+有資格区分コード

⚠️ 「営業所技術者等」と混同しないこと 営業所技術者等(旧・専任技術者)は営業所単位で常勤配置するもので、現場ごとの主任技術者・監理技術者とは別物です。同一人物が兼任できる場合とそうでない場合があります。

5-4. 「専任の有無」欄

工事の請負金額が4,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)の公共性のある工事については、主任技術者・監理技術者は現場に専任でなければなりません。専任の場合は「○」、それ以外は「△」または空欄を記載します。

5-5. JV・PFIの記載

JV(共同企業体)として参加した工事や、PFI事業として実施した工事は、所定の欄にチェックや出資比率を記載します。

5-6. 小計・合計

工事経歴書の最終ページに、当該業種における工事の合計金額を集計します。各都道府県によって書式が若干異なるため、申請先の様式に従ってください。

6. よくあるミスと改善ポイント

6-1. 注文者欄の誤り

下請工事で施主名を書いてしまうケースが多発します。自社が直接契約した相手方(元請業者の名称)を書くと覚えてください。

6-2. 税込み/税抜きの取り違え

経審を受ける場合は税抜き、それ以外は税込み。経審用と決算変更届用で別々に作成することが推奨されます。

6-3. 元請7割ルールを無視

経審を受ける場合に、ただ金額の大きい順に書いてしまうと、本来書くべき元請工事が記載されず、経審の評価が下がります。

6-4. 配置技術者と営業所技術者等の混同

現場ごとの主任技術者・監理技術者と、営業所単位の営業所技術者等(旧・専任技術者)は別物です。

💡 実務経験10年で技術者要件を証明したい方はこちら 👉 【2026年最新】東京都の建設業許可「実務経験10年」の証明が劇的に楽になった!3ヶ月ルールと簡素化の極意

7. 工事経歴書に関するよくあるご質問(FAQ)

Q1. 工事実績が少なく、書く工事がほとんどない場合はどうしたら良いですか?

「該当なし」と記載し、空欄のまま提出することになります。実績がないからといって、不利になることはありませんが、経審を受ける場合は完成工事高が低い分、X1点が低くなります。

Q2. 経審を受ける場合と受けない場合で、別々の工事経歴書を作成する必要がありますか?

はい、別々に作成することが推奨されます。 経審用は税抜き・元請7割ルール、決算変更届用は税込み・金額の大きい順、という違いがあるためです。

Q3. 申請手数料はいくらかかりますか?

工事経歴書自体には手数料はかかりませんが、建設業許可申請には別途法定手数料が必要です。詳細は 👉 建設業許可の申請手数料を徹底解説

Q4. JV(共同企業体)で参加した工事はどう記載しますか?

工事経歴書の所定の欄にチェックを入れ、出資比率に応じた金額を記載します。例:1億円のJV工事に出資比率30%で参加した場合、3,000万円分を計上します。

Q5. 工事経歴書の「個人施主」の氏名はそのまま書いてよいですか?

「個人A」「個人住宅」など省略可能な場合が多いです。プライバシー保護の観点から、特に決算変更届では省略表記が推奨されます。経審の場合は管轄行政庁の指示に従ってください。

Q6. 業種ごとに何枚も書くと膨大になります。簡略化できませんか?

複数業種の許可を持つ場合は、業種ごとに作成が必要です。ただし、決算変更届の場合は実績のない業種は「該当なし」と記載できます。経審を受ける業種だけ詳細に作成し、それ以外は簡略化することは可能です。

8. 工事経歴書の作成はYAS行政書士事務所にお任せください

工事経歴書(様式第2号)は、

  • 経審を受ける場合の「元請7割ルール」「税抜き表記」
  • 元請・下請の正確な区別
  • 金額の千円単位表記
  • 配置技術者と営業所技術者等の混同回避
  • 業種ごとの作成

など、見落としやすいルールが多数あり、ミスにより経審の評価が下がったり、決算変更届が受理されないリスクがあります。

YAS行政書士事務所では、工事経歴書の作成、経審申請、決算変更届、入札参加資格申請までワンストップでサポートしております。許可取得率100%継続中・100%返金保証付きで、お客様の手続きを全力で支援いたします。

📞 まずは無料相談から

  • お電話:0120-114-908
  • メール・Webフォーム:24時間受付中

🎯 【無料】工事経歴書・経審についてご相談ください 経験豊富な行政書士が、貴社の状況に合わせて最適な作成方法をご提案いたします。 👉 お問い合わせ・無料相談はこちら