建設業界は、いまかつてない材料費高騰に直面しています。ロシア・ウクライナ情勢やイランによるホルムズ海峡の封鎖などに伴うエネルギー・ナフサ供給不安、歴史的な円安、中国・東南アジアの建材需要拡大、世界的な物流コスト上昇——これらが複合的に作用し、鉄骨・木材・断熱材・配管材・コンクリート骨材など、ほぼすべての建設資材が値上がりしています。
その結果、これまで500万円未満で請け負えた工事が、同じ施工内容でも500万円を超えてしまうケースが急増しています。これは「建設業許可なしでは違法」のラインを越えることを意味します。
本記事では、材料費高騰時代における建設業許可の重要性、無許可営業の罰則、許可取得・維持の要件、経営事項審査(Y点)への影響、行政書士に依頼すべきケースまで、建設業専門の行政書士が分かりやすく解説します。
noteでも詳しく解説
https://note.com/yasgroup/n/ncebbc920037b
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1. 建設業許可の「500万円の壁」とは

1-1. 金額基準のおさらい
建設業法第3条により、以下の規模を超える工事を請け負うには建設業許可が必須です(軽微な建設工事の上限)。
| 工事の種類 | 許可が必要となる金額・規模 |
|---|---|
| 建築一式工事以外の工事(28業種) | 請負代金 500万円以上(税込) |
| 建築一式工事 | 請負代金 1,500万円以上(税込)または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事 |
📝 重要な注意点
- 金額は消費税込みで計算します
- 注文者から提供される材料費(支給材)も含めて判定します
- 同一工事を意図的に分割して契約しても合算で判定されます 例:施主が300万円の高級キッチンを支給、設置工事費が250万円の契約 → 合計550万円となり許可が必要
1-2. 「500万円の壁」を超える工事が急増している背景
近年、これまで500万円未満で請け負っていた工事が、同じ施工内容のままで500万円を超えるケースが目立っています。背景には、以下のような複合的な要因があります。
- エネルギー・原材料の供給不安:ナフサ(プラスチック・塩ビ管・断熱材などの基礎原料)、鋼材、アルミなどの価格が高止まり
- 歴史的水準の円安:輸入材(木材・鉄鋼・配管材・住宅設備等)のコストが上昇
- 世界的な海上輸送・物流コストの増加
- 中国・東南アジア等の建材需要拡大による国際的な需給逼迫
- 国内の人件費・労務費の上昇
この結果、以前は400万円台で請け負えたリフォーム・設備工事・改修工事が、550万円〜600万円に上昇する事例が全国で発生しています。
2. 無許可営業のリスク|罰則と信用失墜

2-1. 罰則は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」
許可なく500万円以上の工事を請け負うと、建設業法第47条により以下の罰則が科されます。
- 3年以下の懲役、または300万円以下の罰金(情状により併科あり)
- 法人には両罰規定により1億円以下の罰金
無許可営業は建設業法で最も重い違反のひとつとして位置づけられており、個人事業主本人・法人の代表者・実際に違反行為を行った従業員も処罰の対象となり得ます。
2-2. 5年間の欠格期間という「死刑宣告」
罰則以上に深刻なのが、欠格要件です。建設業法違反で罰金以上の刑に処せられると、その執行終了から5年間は建設業許可を取得できません。同期間中は役員等になることもできなくなるため、事実上、建設業からの退場を意味します。
2-3. 取引先・金融機関からの信用失墜
無許可営業の事実は、
- 元請からの取引停止
- 金融機関の融資引上げ
- 工事代金の支払い拒否
- 業界ネガティブ情報への掲載
など、罰則以上のダメージとなり得ます。「うっかり超えてしまった」では済まされないのが現実です。
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3. 建設業許可の取得要件【令和7年改正対応】
建設業許可を取得するには、以下の5要件をすべて満たす必要があります。
3-1. 経営業務管理責任者(経管)の設置
法人の常勤役員、または個人事業主本人もしくは支配人のうち、少なくとも1人が以下のいずれかを満たすこと(令和2年10月改正後)。
- 建設業(業種問わず)で5年以上の役員等としての経験
- 建設業で5年以上の役員等に次ぐ地位での経営業務管理経験
- 6年以上の役員等経験(うち建設業以外を含む)+ 補佐経験の組み合わせ
- 常勤役員等 + これを直接補佐する者の組み合わせ(5年以上の補佐経験者を配置)
3-2. 専任技術者(専技)の配置
営業所ごとに専任技術者を常勤で配置。次のいずれかが必要です。
- 業種に応じた国家資格(施工管理技士、技術士、電気工事士、建築士など)
- 指定学科卒業+実務経験(大学・高専3年、高校5年)
- 10年以上の実務経験
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3-3. 財産的基礎
一般建設業の場合、以下のいずれか1つを満たすこと。
- 直前の決算で自己資本500万円以上
- 500万円以上の資金調達能力(金融機関の融資証明など)
- 過去5年間継続して建設業の許可を受けて営業した実績
3-4. 誠実性
請負契約に関し、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと。
3-5. 欠格要件に該当しないこと
破産者で復権を得ない者、禁錮以上の刑から5年経過していない者、暴力団員等に該当しないこと、社会保険加入義務を果たしていること等。
4. 一般建設業と特定建設業【令和7年改正対応】
令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正により、特定建設業の判定基準が引き上げられました。
| 区分 | 元請として下請に出す金額 |
|---|---|
| 一般建設業 | 5,000万円未満 |
| 特定建設業 | 5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上) |
旧基準(4,500万円・7,000万円)の情報が掲載されているサイトも多いのでご注意ください。材料費高騰の影響で下請契約金額も増加しているため、意図せず特定建設業の基準に達してしまうケースも出ています。
5. 材料費高騰が建設業許可の維持に与える影響
5-1. 財産的基礎要件への影響
許可更新時にも財産的基礎(自己資本500万円以上等)の確認が必要です。材料費高騰により、
- 利益率の低下で自己資本を積み上げにくくなる
- 仕入れ代金の先払いで資金繰りが悪化
- 未払い金の増加で流動性が低下
といった事態が起こり得ます。決算時に自己資本が500万円を下回ると更新できなくなる可能性があるため、定期的な財務チェックと早期の増資・利益確保策が重要です。
5-2. 経営事項審査(Y点)への影響
公共工事の入札参加を目指す場合、経営事項審査の結果である「総合評定値(P点)」が等級格付けに直結します。P点は以下の評点で構成されます。
| 評点 | 内容 | ウエイト |
|---|---|---|
| X1 | 完成工事高評点 | 25% |
| X2 | 自己資本額・利益額評点 | 15% |
| Y | 経営状況分析評点(財務指標8項目) | 20% |
| Z | 技術力評点 | 25% |
| W | その他社会性等評点 | 15% |
材料費高騰により売上総利益率・営業利益率が低下すると、Y点(経営状況分析評点)が下がり、結果として総合評定値P点が悪化します。公共工事の入札で受注機会を失うことに直結するため、
- 徹底した原価管理
- 資材調達ルートの見直し
- 高付加価値工事へのシフト
- 適正な見積もりと価格転嫁
など、Y点を意識した経営戦略が求められます。
6. DX化と省力化|BIM/CIMで生産性を上げる
人手不足が深刻化する建設業界では、DX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性向上が急務です。代表的な技術が BIM/CIM です。
- BIM(Building Information Modeling):建築分野の3次元情報モデリング。設計・施工・維持管理までを3Dモデル中心に統合
- CIM(Construction Information Modeling / Management):土木分野の3次元情報モデリング。橋梁・道路・河川などのインフラ整備で活用
その他、現場管理アプリ(写真・図面・進捗の一元管理)、ドローン測量、クラウド型勤怠管理、AIによる施工計画支援などが普及しています。これらは生産性向上だけでなく、手戻り削減によるコスト削減 にも直結します。材料費高騰の逆風下で利益率を守るためにも、DX投資の検討は重要です。
7. 行政書士に相談すべきケース

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以下に該当する建設業者様は、建設業許可の専門家である行政書士へのご相談をお勧めします。
- 請負金額が500万円に近づいている、または超える見込み
- 経営業務管理責任者・専任技術者の証明書類が複雑
- 実務経験10年で専任技術者を証明したい
- 決算で自己資本が500万円ギリギリで、更新が不安
- 公共工事の入札参加に向けて経営事項審査を受けたい
- 一般から特定への般・特新規申請を検討している
- 解体工事業登録・電気工事業登録などのセット申請を希望
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8. よくあるご質問(FAQ)
Q1. 材料費高騰で500万円を超えそうですが、許可取得にどのくらい時間がかかりますか?
書類が整ってから、知事許可で約45〜60日、大臣許可で約120日が標準的な審査期間です。書類準備期間を含めると、ご依頼から営業開始まで2〜3ヶ月を見込んでください。逆算して早めにご相談ください。
Q2. 申請の手数料はいくらですか?
知事許可(新規)で9万円、大臣許可(新規)で15万円の法定手数料がかかります。詳細は 👉 建設業許可の申請手数料を徹底解説 をご参照ください。
Q3. 注文者から材料の支給を受けた場合は500万円の判定に含めますか?
含めます。 注文者から材料が無償提供される場合でも、その市場価格+運送費を加算して500万円判定をします。設備工事・内装工事業では特に注意が必要です。
Q4. 工事を複数の契約に分割すれば500万円を下回るので許可は不要ですか?
不可です。 実質的に1つの工事を意図的に分割した契約は合算で判定され、無許可営業として処罰される可能性があります。
Q5. 材料費高騰でY点が下がった場合、入札参加できなくなりますか?
入札に参加できなくなることはありませんが、等級格付けが下がり、受注できる工事規模に制限がかかる可能性があります。原価管理・財務改善でY点の維持・向上を図ることが重要です。
Q6. 個人事業主でも建設業許可は取れますか?
取得可能です。 個人・法人を問わず、要件を満たせば建設業許可を取得できます。事業拡大・公共工事入札・金融機関融資を視野に入れるなら、法人化と同時に許可を取得する方が有利な場合が多いです。
9. まとめ|「500万円の壁」を行政書士と乗り越える
材料費高騰により、これまで意識せずに済んでいた「500万円の壁」が、いまや多くの建設業者様にとって現実の課題となっています。無許可営業は3年以下の懲役または300万円以下の罰金という重い罰則に加え、5年間の欠格期間・信用失墜という致命的なダメージを伴います。
一方、建設業許可は要件が複雑で、経営業務管理責任者・専任技術者の証明、財産的基礎の維持、経営事項審査(Y点)対策まで、専門的な知識が不可欠です。本業に集中しながら正確に手続きを進めるには、建設業専門の行政書士の活用が最も確実な方法です。
YAS行政書士事務所では、建設業許可の新規取得から更新・業種追加・経審・入札参加資格申請・関連業務(電気工事業登録・解体工事業登録・産業廃棄物収集運搬業許可等)まで、ワンストップでサポートしています。許可取得率100%継続中・100%返金保証付きで、お客様の許可取得を全力で支援いたします。
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