「土木工事業で建設業許可を取りたいが、何から始めればよいか分からない」「土木一式工事と専門工事の違いが分かりにくい」——そうお悩みの土木業者の方は多いのではないでしょうか。

本記事では、土木工事業の建設業許可を取るには何が必要なのか、土木一式工事の定義から、経営業務管理責任者・専任技術者の要件、実務経験での証明方法、許可取得後の維持管理まで、建設業専門の行政書士が最新の法令(令和7年改正対応)に基づいて分かりやすく解説します。

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1. 土木一式工事とは?定義と業種の範囲

土木一式工事とは?定義と業種の範囲

1-1. 土木一式工事の定義

土木一式工事とは、総合的な企画・指導・調整のもとに、土木工作物を建設する工事を指します。建設業法で定められた29業種のうち、土木一式工事と建築一式工事の2つが「一式工事」に分類されています。

土木一式工事に該当する代表的な工事は次の通りです。

  • 宅地造成工事・整地工事
  • 道路工事・橋梁工事
  • 河川工事・護岸工事・砂防工事
  • トンネル工事・ダム工事
  • 上下水道工事(土木工作物としての本管布設)
  • 海岸・港湾工事・埋立工事
  • 地盤改良工事
  • 土木工作物の解体工事(一定規模のもの)

これらは複数の専門工事を組み合わせ、全体を統括して完成させる性質を持つため、単一の専門工事として請け負う場合とは区別されます。

1-2. 土木一式工事と専門工事の違い

ここが土木工事業の建設業許可で最も誤解されやすいポイントです。

土木一式工事は、原則として元請として複数の専門工事を組み合わせる大規模工事を請け負うための業種です。一方、舗装工事・とび・土工工事・しゅんせつ工事などの専門工事は、それぞれ単独で請け負う工事のための業種です。

工事内容必要な許可業種
道路全体(路盤・舗装・側溝・標識など複数を統括)土木一式工事
舗装工事のみを単独で請け負う舗装工事業
法面工事・基礎工事のみとび・土工・コンクリート工事業
河川しゅんせつのみしゅんせつ工事業
工作物の解体(500万円以上)解体工事業(2016年新設)

⚠️ 重要:土木一式工事の許可では、500万円以上の専門工事を単独で請け負うことはできません。 例えば、舗装工事だけを500万円以上で受注する場合は、別途「舗装工事業」の許可が必要です。

詳しくは関連記事 👉 建設業許可「業種選び」の決定版|後悔しないための戦略と裏技 もご覧ください。

1-3. 建設業許可が必要となる金額基準

土木工事業も含め、以下を超える工事を請け負うには建設業許可が必須です。

  • 建築一式工事以外の工事:請負代金 500万円以上(税込)
  • 建築一式工事:請負代金 1,500万円以上(税込)または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事

土木一式工事は「建築一式工事以外」に分類されるため、500万円以上の工事を請け負う場合は許可が必要です。無許可営業は3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となります。


2. 土木工事業 建設業許可の5つの取得要件

土木業者の許可取得には、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

2-1. 経営業務管理責任者(経管)の設置

法人の常勤役員、または個人事業主本人もしくは支配人のうち、少なくとも1人が経営業務管理責任者としての要件を満たしている必要があります。

主な要件パターン(令和2年10月施行の新基準):

  1. 建設業(業種問わず)で5年以上の役員等としての経験を有する者
  2. 建設業で5年以上の役員等に次ぐ地位での経営業務管理経験を有する者
  3. 6年以上の役員等としての経験(うち建設業以外の業種を含む場合)+ 補佐経験の組み合わせ
  4. 常勤役員等+これを直接補佐する者の組み合わせ(財務・労務・運営を5年以上補佐した者を配置)

旧法では「許可を受けようとする業種で5年以上、それ以外の業種では7年以上」とされていましたが、令和2年改正により業種を問わず5年以上で足りるようになりました。

2-2. 専任技術者(専技)の配置

営業所ごとに専任技術者を常勤で配置する必要があります。土木一式工事の専任技術者となるには、以下のいずれかに該当することが必要です。

◆ 国家資格による証明

  • 1級土木施工管理技士(特定建設業も可)
  • 2級土木施工管理技士(土木・鋼構造物塗装・薬液注入)
  • 1級・2級建設機械施工技士
  • 技術士(建設部門・農業部門「農業土木」・水産部門「水産土木」・森林部門「森林土木」・総合技術監理部門の建設部門 等)

◆ 指定学科卒業+実務経験

指定学科:土木工学・都市工学・衛生工学・交通工学 などを卒業した者で、

  • 大学・高等専門学校卒:卒業後 3年以上の実務経験
  • 高等学校・中等教育学校卒:卒業後 5年以上の実務経験

◆ 実務経験のみによる証明

土木一式工事に関する 10年以上の実務経験 を有する者

💡 実務経験10年の証明は2026年の改正で大幅に簡素化されました。 詳しくは 👉 【2026年最新】東京都の建設業許可「実務経験10年」の証明が劇的に楽になった!3ヶ月ルールと簡素化の極意 で解説しています。

2-3. 財産的基礎

経営の安定性を証明するため、以下のいずれかを満たす必要があります。

一般建設業の場合(いずれか1つ)

  • 直前の決算で自己資本500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力(金融機関の融資証明など)
  • 過去5年間継続して建設業の許可を受けて営業した実績

特定建設業の場合(すべてを満たすこと)

  • 欠損額が資本金の20%を超えないこと
  • 流動比率が75%以上
  • 資本金2,000万円以上かつ純資産4,000万円以上

2-4. 誠実性

請負契約に関し、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと。役員等や使用人に、過去の建設業法等の違反歴がないかが審査されます。

2-5. 欠格要件に該当しないこと

  • 成年被後見人・被保佐人、破産者で復権を得ない者でないこと
  • 禁錮以上の刑の執行終了から5年を経過していること
  • 建設業法等の違反による営業停止処分中でないこと
  • 暴力団員またはその関係者でないこと

加えて、社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への適切な加入も必須要件となっています(平成32年/令和2年から要件化)。

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3. 一般建設業と特定建設業の違い【令和7年改正対応】

土木工事業 建設業許可を取得する際は、「一般」と「特定」のどちらを取得するかも重要な判断ポイントです。

3-1. 区分の判定基準

発注者から直接請け負った1件の工事について、下請に出す金額の合計が以下を超えるかどうかで区分されます。

区分下請に出す金額(元請として)
一般建設業下表の金額未満
特定建設業5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上

📝 【最新の改正情報】 令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正により、特定建設業の下請金額基準が 4,500万円→5,000万円(建築一式:7,000万円→8,000万円) に引き上げられました。古い情報を掲載しているサイトも多いので注意が必要です。

3-2. 注意点

  • 「下請に出す金額」には材料費は含みませんが、消費税は含みます
  • 元請ではなく下請として工事を請け負う場合は、いくら高額の工事でも特定建設業の許可は不要です(一般建設業で足ります)
  • 全て自社施工する場合も特定建設業は不要です

4. 土木工事業 建設業許可取得後の維持管理

許可は取得して終わりではありません。取得後の手続きを怠ると、最悪の場合は許可取消しとなります。

4-1. 5年ごとの更新申請

建設業許可の有効期間は5年間です。有効期間満了日の30日前までに更新申請を行う必要があります。更新を忘れると許可は失効し、再取得には新規申請と同じ手続きが必要になります。

4-2. 事業年度終了届(決算変更届)

毎事業年度終了後4ヶ月以内に、決算内容や工事経歴書を行政庁に提出する義務があります。これを怠ると更新申請ができないだけでなく、指導監督処分の対象にもなります。

4-3. 変更届

以下の変更があった場合、30日以内(事項により2週間以内)に変更届の提出が必要です。

  • 商号・名称の変更
  • 営業所の名称・所在地・新設・廃止
  • 役員(取締役・監査役等)の変更
  • 経営業務管理責任者・専任技術者の変更
  • 資本金額の変更
  • 個人事業主の氏名変更

💡 取得後の3つの義務について詳しく解説しています 👉 建設業許可「取得後」に必ずやるべき3つの義務|更新で泣かないための管理術


5. 土木工事業の建設業許可に関するよくあるご質問(FAQ)

Q1. 土木工事業の建設業許可を取るにはどのくらいの期間がかかりますか?

書類が整ってから、知事許可で約45〜60日、大臣許可で約120日が標準的な審査期間です。書類準備期間を含めると、ご依頼から営業開始まで2〜3ヶ月を見込んでください。

Q2. 建設業許可の申請手数料はいくらですか?

知事許可(新規)で9万円、大臣許可(新規)で15万円の法定手数料がかかります。詳細は 👉 建設業許可の申請手数料を徹底解説 をご参照ください。

Q3. 個人事業主でも土木業者の許可取得はできますか?

可能です。 個人・法人を問わず、要件を満たせば建設業許可を取得できます。ただし、事業拡大・公共工事入札・金融機関からの融資を見据えるなら、法人化と同時に許可を取得する方が有利な場合が多いです。

Q4. 実務経験10年で土木一式工事の専任技術者になれますか?

なれます。 10年間継続して土木一式工事の実務に従事した経歴を、契約書・注文書・請求書・通帳記録等で証明する必要があります。証明書類が揃わないケースが多いので、専門の行政書士へのご相談をお勧めします。

Q5. 土木一式工事の許可があれば、舗装工事も請け負えますか?

500万円未満であれば請け負えます(軽微な建設工事として)。ただし、500万円以上の舗装工事を単独で請け負うには、別途「舗装工事業」の許可が必要です。土木一式工事は、複数の専門工事を統括して請け負う場合の業種です。

Q6. 解体工事は土木工事業の許可で対応できますか?

土木工作物(橋・道路・トンネル等)の解体は土木一式工事に含まれる場合がありますが、500万円以上の解体工事を独立した工事として請け負う場合は「解体工事業」の許可が必要です(平成28年6月に新設された業種)。


6. 土木工事業の建設業許可取得は専門家にお任せください

土木工事業の建設業許可を取るには、定義の理解から始まり、5つの要件の証明、必要書類の収集、申請書の作成、そして取得後の継続的な維持管理まで、極めて専門的な知識が求められます。

特に以下のようなケースでは、ご自身で進めるのは難しいことが多く、専門家への相談をお勧めします。

  • 実務経験10年で専任技術者を証明したい
  • 経営業務管理責任者の経験証明が複雑
  • 過去に役員変更や事業承継があった
  • 一般から特定への般・特新規申請を予定している
  • 経営事項審査(経審)まで一気に進めたい

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