電気工事業を営む方から最も多く寄せられるご質問が、「建設業許可と電気工事業登録、どちらが必要なのか?」「両方必要なのか?」というものです。実際、この2つの制度は根拠法も目的も異なるうえに、組み合わせで4つの区分に分かれるため、多くの事業者様が混乱しやすいポイントです。

本記事では、電気工事業の建設業許可と電気工事業登録の違いを明確に整理し、4区分の判定フロー、主任電気工事士の要件、申請手続きまで、建設業専門の行政書士が分かりやすく解説します。電気工事業者の疑問解消にお役立てください。

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1. 建設業許可と電気工事業登録、それぞれの目的と根拠法

建設業許可と電気工事業登録、それぞれの目的と根拠法

1-1. 建設業許可とは

建設業許可は、建設業法に基づく制度です。請負金額500万円以上(税込)の建設工事を請け負う場合に、国土交通大臣または都道府県知事から取得しなければなりません。

電気工事も建設業法上の29業種のうち「電気工事業」に該当するため、500万円以上の電気工事を請け負う場合は建設業許可が必須です。

目的:建設業全体の健全な発達と公共の福祉の確保 判定基準:請負金額(500万円以上か未満か)

1-2. 電気工事業登録とは

電気工事業登録は、「電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)」に基づく制度です。請負金額ではなく、電気工事の対象設備の種類によって必要な手続きが決まります。

目的:電気工事の安全確保、災害の防止 判定基準:工事の対象(一般用電気工作物 / 自家用電気工作物)

⚠️ 重要なポイント 建設業許可と電気工事業登録は別の制度です。建設業許可を持っているだけでは電気工事業を営めません。両方の手続きが必要になるケースが多いことを押さえておきましょう。


2. 電気工事業者の4区分|あなたはどれに該当する?

電気工事業法では、「建設業許可の有無」×「工事対象の設備」の組み合わせで、事業者を4つの区分に分類しています。これが多くの事業者様を悩ませる根本原因です。

2-1. 4区分の判定表

建設業許可工事対象区分必要な手続き主任電気工事士
なし一般用電気工作物等登録電気工事業者登録(5年更新)必要
なし自家用電気工作物のみ通知電気工事業者通知不要
あり一般用電気工作物等みなし登録電気工事業者開始届必要
あり自家用電気工作物のみみなし通知電気工事業者開始通知不要

2-2. 「一般用電気工作物等」と「自家用電気工作物」の違い

  • 一般用電気工作物等:一般家庭・小規模商店・小規模事務所などの低圧(600V以下)受電の電気設備
  • 自家用電気工作物:工場・ビル・大規模店舗などで高圧受電する電気設備(最大電力500kW未満のもの。500kW以上は事業用電気工作物)

戸建住宅やコンビニなどの電気工事を請け負う事業者は「一般用」、ビル・工場の電気工事を専門に行う事業者は「自家用」に分類されます。両方を行う場合は「一般用電気工作物等」側に該当します。

2-3.「みなし登録」「みなし通知」の重大な誤解に注意

「建設業許可があれば電気工事業登録は不要」と思っている方が多いですが、これは誤りです。

建設業許可(電気工事業)を取得している場合でも、電気工事を実際に行うには、別途「みなし登録電気工事業者開始届」または「みなし通知電気工事業者開始通知書」の提出が必要です。

提出を怠ると、電気工事業法第40条により2万円以下の罰金の対象となります。実務上、見落とされやすいポイントなのでご注意ください。

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3. 建設業許可(電気工事業)の要件とメリット

3-1. 取得の5要件

電気工事業で建設業許可を取得するには、以下のすべてを満たす必要があります。

① 経営業務管理責任者(経管)の設置

法人の常勤役員、または個人事業主本人等のうち1人が、以下のいずれかに該当すること。

  • 建設業(業種問わず)で5年以上の役員等としての経験を有する者
  • 建設業で5年以上の役員等に次ぐ地位での経営業務管理経験
  • 6年以上の役員等としての経験+補佐経験の組み合わせ 等

📝 令和2年10月の建設業法改正により、「許可を受けようとする業種で5年以上」の縛りがなくなり、業種を問わず5年以上で要件を満たせるようになりました。

② 専任技術者の配置(営業所ごと)

電気工事業の専任技術者となるには以下のいずれかが必要です。

◆ 国家資格による証明

  • 1級電気工事施工管理技士(特定建設業も可)
  • 2級電気工事施工管理技士
  • 第一種電気工事士
  • 第二種電気工事士(3年以上の実務経験が必要)
  • 技術士(電気電子部門・建設部門「電気設備」等)

◆ 指定学科卒業+実務経験

指定学科(電気工学・電気通信工学)を卒業した者で、

  • 大学・高等専門学校卒:卒業後3年以上の実務経験
  • 高校・中等教育学校卒:卒業後5年以上の実務経験

◆ 実務経験のみ

電気工事に関する10年以上の実務経験

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③ 財産的基礎

一般建設業の場合、以下のいずれか1つを満たすこと。

  • 直前決算で自己資本500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力(金融機関の融資証明等)
  • 過去5年間継続して許可を受けて営業した実績

④ 誠実性

請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと。

⑤ 欠格要件に該当しないこと

破産者で復権を得ない者、禁錮以上の刑から5年経過していない者、暴力団員等に該当しないこと。

加えて、社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)への適切な加入が必須です。

3-2. 建設業許可を取得する5つのメリット

  1. 500万円以上の電気工事を請け負える(事業規模の拡大)
  2. 公共工事の入札参加資格が取得可能(経営事項審査を経て)
  3. 金融機関の融資で有利になる
  4. 取引先・元請からの信用が向上
  5. 特定建設業取得への足がかりとなる

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4. 電気工事業登録(みなし登録含む)の要件と手続き

4-1. 主任電気工事士の選任要件

登録電気工事業者およびみなし登録電気工事業者は、営業所ごとに主任電気工事士を選任しなければなりません。

主任電気工事士の要件:

  • 第一種電気工事士免状の交付を受けている者、または
  • 第二種電気工事士免状の交付を受けた後、3年以上の実務経験を有する者

なお、第一種電気工事士は5年ごとの定期講習の受講義務があります。受講していないと業務に従事できなくなるため、注意が必要です。

⚠️ 通知電気工事業者・みなし通知電気工事業者には主任電気工事士の設置義務はありませんが、自家用電気工作物の工事を行えるのは第一種電気工事士のみです。

4-2. 営業所ごとに備えるべき器具

電気工事業法施行規則により、営業所ごとに以下の測定器具を備える必要があります。

自家用電気工作物に係る工事の場合

  • 絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗および交流電圧を測定できる回路計
  • 低圧検電器、高圧検電器、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置

一般用電気工作物等のみの場合

  • 絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗および交流電圧を測定できる回路計

4-3. 申請の流れと必要書類

みなし登録電気工事業者開始届の主な必要書類

  • みなし登録電気工事業者開始届出書
  • 建設業許可通知書の写し
  • 主任電気工事士の電気工事士免状の写し
  • 主任電気工事士の実務経験証明書(第二種の場合)
  • 主任電気工事士の雇用関係を証する書類
  • 営業所の備付け器具一覧

申請先:営業所の所在地を管轄する都道府県知事 (2以上の都道府県に営業所がある場合は経済産業大臣)

4-4. 有効期間と更新

  • 登録電気工事業者:5年ごとに更新申請が必要
  • みなし登録/みなし通知:建設業許可と一体(建設業許可の更新時に変更届を提出)

建設業許可が失効すると、みなし登録/みなし通知も自動的に効力を失う点にご注意ください。


5. 電気工事業者のよくあるご質問(FAQ)

Q1. 500万円未満の電気工事しか請け負わないなら、建設業許可は不要ですか?

建設業許可は不要ですが、電気工事業登録(または通知)は必要です。500万円未満であっても、登録または通知をせずに電気工事を行うと電気工事業法違反となります。

Q2. 建設業許可を取れば電気工事業登録は不要ですか?

いいえ、不要にはなりません。 建設業許可を取得した場合は「みなし登録」または「みなし通知」の開始届の提出が必須です。提出漏れは2万円以下の罰金の対象となります。

Q3. 申請の手数料はいくらですか?

  • 建設業許可(知事・新規):9万円
  • 登録電気工事業者:都道府県により異なる(多くは1〜2万円程度)
  • みなし登録電気工事業者開始届:手数料無料

詳しくは 👉 建設業許可の申請手数料を徹底解説|知事・大臣・新規・更新の費用まとめ

Q4. 第二種電気工事士で建設業許可(電気工事業)の専任技術者になれますか?

3年以上の実務経験があればなれます。 実務経験は契約書・注文書・請求書等で証明する必要があり、無資格期間の作業証明は認められません。

Q5. みなし通知電気工事業者でも主任電気工事士は必要ですか?

設置義務はありません。 ただし、自家用電気工作物の電気工事を実際に行う者は第一種電気工事士でなければなりません。

Q6. 建設業許可(電気工事業)を取得した後、何か継続的な手続きはありますか?

はい、複数の継続義務があります。

  • 毎年の決算変更届(事業年度終了後4ヶ月以内)
  • 変更があった際の変更届
  • 5年ごとの更新申請
  • みなし登録/みなし通知の建設業許可更新時の変更届

詳しくは 👉 建設業許可「取得後」に必ずやるべき3つの義務|更新で泣かないための管理術


6. 電気工事業の許可・登録はYAS行政書士事務所にお任せください

電気工事業の建設業許可と電気工事業登録の違いを理解したうえで、自社に必要な手続きを漏れなく行うことは、想像以上に複雑です。特に「みなし登録」「みなし通知」の届出は実務上見落とされやすく、後から罰則の対象になるケースも少なくありません。

YAS行政書士事務所では、電気工事業に関する以下のような手続きをワンストップでサポートしています。

  • 建設業許可(電気工事業)の新規取得・更新・業種追加
  • みなし登録電気工事業者開始届・みなし通知開始通知
  • 登録電気工事業者の新規登録・更新
  • 経営事項審査・入札参加資格申請
  • 取得後の変更届・決算変更届の代行
  • 関連業務(解体工事業登録・産業廃棄物収集運搬業許可・会社設立等)のセット対応

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